今にも降りだしそうな雨雲が木曽谷に低く垂れこめていた。千体観音堂での一夜は問答道場の観を呈した。眠りについても離れぬ禅問答、思考の一点が大きく膨れあがり、己がこの得体の知れぬ世界にはまり込んでいく。もがけばもがくほど絡み取られていくではな…
嗚呼(ああ)われいまここ 中山道木曽路にありて 三留野(みどの)宿 千体観音堂 一刻院に 一心を托しおる 坐して 瞑目するに 時止まりて われまた 即身成仏の一体となるを観ずる 千体観世音の心音 宇宙に歌いて わが命と融合してやむことなし 闇に浮かびし …
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。